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4割が痛みを経験…野球少年を悩ます「野球肘」とは

来春の選抜高校野球で延長十三回からタイブレイク制が導入されることになった。賛否両論はあっても、健康面だけを考えると、選手の体力的負担が減ることは間違いない。選手に対する気配りが年々高まる一方で、小中学生を含めて捉えると、肘の痛みを訴える野球少年は少なくない。子供たちが抱える「野球肘(やきゅうひじ)」の問題について、泉整形外科病院長(仙台市)で野球肘研究会代表の高原政利さんに話を聞いた。

4割が痛みを経験…野球少年を悩ます「野球肘」とは

 

4人に1人は「はっきりとした異常」

 ――まず、野球肘の定義を教えてください。

 「野球をやっていると、外傷を負ったり、障害(故障)を抱えたり、いろいろなケースがありますが、肘に関する外傷と障害を総称して野球肘と呼びます。骨折など1回の受傷で起きるものを外傷、徐々に発症するものを障害と区別しますが、その線引きは難しく、両方を含めてケガと呼んだりもします。大人も靱帯を痛めるなどの野球肘になりますが、大きな問題になるのは、成長期の骨に影響を及ぼす野球少年(主に15歳まで)の野球肘です」

 ――子供たちはどのくらいの割合で野球肘になっているのですか?

 「『痛みがあって試合に出られない』という重傷の選手だけでなく、『肘が痛かったことがある』という子供たちを含めると40%にのぼります。小学生では肘の痛みが一番多く、中学生では肩の割合が増え、高校生では肘、肩、腰の痛みが30%ずつになります」

 ――治療が必要な子供の割合はどのくらいですか?

 「レントゲンの画像的にもはっきり異常があるというのは25%です。このデータは昔から変わっていません。本人がたいしたことないと思っている人もいっぱいいて、実際に病院にくる子供たちは半分いるかどうか。近年はわりと早く病院に来るようになってきています。親や指導者の理解もあり、発症してから1か月以内にくる人が増えました。ここ10年の間にものすごく変わりました」

 ――放っておくとどうなりますか?

 「肘を使うスポーツなので、野球を続けながら、放っておいて治すということは難しい。休めば治るケースもあります。私たちは治療をしますが、自然に自分の力で回復することが一番重要です。休養だけでは治らないものは、手術をすることになります」

 

 

4割が痛みを経験…野球少年を悩ます「野球肘」とは

離断性骨軟骨炎の症状を示す画像(高原代表提供)

骨の成長期だから野球肘になる

 ――なぜ、野球肘になるのですか?

 「肘の使いすぎや、肘に変な力が加わり続けるためです。ここで大切なのは、15歳くらいまでは、骨の成長期にある、ということです。軟骨が骨に変わっていきます。これが成長です。投げる時には、少年の場合、6キロから11キロのおもりをぶら下げたのと同じくらいの負荷が肘にかかります。この時、正しくないフォームで投げてねじれの力が働くと、軟骨から骨に変わる途中で弱い状態の肘の骨に圧がかかって、はがれたり、つぶれたりするのです」

 ――どういう症状になるのですか?

 「最初に起きるのは『肘の内側の骨がはがれる』という症状です。私たちは『裂離れつり』と呼んでいます。引っ張られて骨が欠けちゃう。この症状の場合は、投げなければ、骨は元の状態に戻りますので、約半年ほど時間がかかることもありますが、手術をせずに放っておいても治ります」

 「大変なのは、肘の外側の骨に起きる『離断性骨軟骨炎』というものです。圧縮とひねりが加わって起きます。関節がつぶれ、かけらができてはがれ落ちます。肘が動かなくなり、日常生活でも痛い時があります。野球少年の3%くらいが、この故障を抱えています。昔は、こうなったら、プロには行けない、と言われていました。現在はそんなことはありませんが、このケースでは、半分が手術になります」

 

 

4割が痛みを経験…野球少年を悩ます「野球肘」とは

日本ハム・大谷の投球フォーム。高原代表は理想のフォームのひとつにあげた(2017年9月21日)

 

 

小学生は遠投を避けたほうがいい

 ――野球肘にならないための対策をうかがいます。球数制限は必要ですか。記者が18年前に、当時の日本整形外科スポーツ医学会理事長を取材した時には、「小学生は1日50球以内、中高生は100球以内。試合での連投は避ける」ことを薦めていました。制限が必要とすれば、現在、この目標値は変わっていますか。

 「必要です。投球制限に関しては膨大なデータがあって、いま示された目標は正しいという結果になっています」

 ――高原先生は「遠投否定派」と聞いています。

 「小学生の時はあまりやらないほうがいい。私たちのデータでも、遠投をやっている子は野球肘が多い、と出ています。遠投をしろ、と言われれば、子供たちは遠く投げようと思い切り上に向かって投げます。子供は競いますから。上に向かって投げることで、リリースポイントは早くなり、肘に負担がかかります。もし、治療して戻ってきたばかりの子供に、いきなり遠投をやれ、と言ったらどうなるでしょうか。またすぐだめになります。元気にやっている子供の中にも、故障に近づいている予備軍はたくさんいます。彼らに遠投をやれと言っても、同じことになります」

 ――理想のフォームはありますか?

 「最終的には、肘が伸びる方向に腕が振れれば一番いいのです。肩と肘が一直線。それがプロの投げ方です。骨盤が回転して、肩甲骨が回転して、それから腕を振り下ろします。だめなのは肩が出る前に、腕が出てしまうことです。プロの選手は、まっすぐ一直線で投げている。楽天の投手でも、ちょっと変な投げ方をすると痛くなるけど、ちゃんと投げれば問題ないという人はいっぱいいます。肘にある程度の障害があっても、フォームの良さでカバーして問題が起きていない人もいます」

 ――投げた後のケアは大事ですか?

 「クールダウンを15分以上するか15分以内かで差があるというデータがあります。15分以上はやったほうがいい。しっかりケアをするということは、自分の体にきちんと向き合っているか、いないかという意識の問題でもあります。クールダウンは、アイシングだけでなく、収縮した筋肉をほぐすストレッチも取り入れてください」

 

 

4割が痛みを経験…野球少年を悩ます「野球肘」とは

今夏の高校野球では8強のうち1人で投げ抜いたチームはゼロ。写真は優勝した花咲徳栄の綱脇

 

 

日本の治療技術は世界一

 ――肘に痛みを感じたらどうすればいいですか?

 「まずは休んでください。休んでいる間に治るものもありますし、手術しないとだめな例もあります。離断性骨軟骨炎の治療法は、1年くらい投げないで様子をみるか、手術しかありません。肘の外側に痛みを感じて自ら病院に来た子供は6、7割は手術が必要です」

 「日本の治療技術は世界で一番進んでいます。実のところ、少年の野球肘は日本が一番多いのです。以前は離断性骨軟骨炎になると、高いレベルでの野球復帰が困難なことがありましたが、手術をして完全に復帰するケースが増えています。私のところでも、中学の時にこの治療をして、その後、全国大会に出て優勝したという投手がいます。治療後に県外の名門高に進んだ子もいます」

 ――野球肘研究会を作った理由を教えてください。

 「スポーツの現場と医療の連係を旗印に2010年4月に発足しました。病院で治療するのでは遅すぎるという思いがあったからです。治療だけじゃ足りない。トレーナーや、指導者たちに情報公開をすることが大切と思いました。山形の高校野球で、肘に痛みを感じたらまずどこにいくかという統計を取ったら、半数は接骨院、半分が病院でした。一般の人は、接骨院も医者がやっていると思っています。接骨院の人が正しい知識を持って、医師と連携することが必要です。そういった人たちがたくさんいれば、子供たちは助かると思います。スポーツ整形外科の学会は医者だけの集まりですが、野球肘研究会は理学療法士や接骨師などの医療従事者やトレーナーや指導者を含めた組織になっています」

 ――具体的にはどんな活動をしていますか?

 「現在は夏と冬の2回に合宿をしています。これまで13回。夏は勉強を一生懸命やって、どうしたらよりよく治療できるかを考えるのがメインです。この夏の新潟合宿には、全国から約300人が集まりました。内訳は、医者が100人、接骨院関係者・理学療法士などが100人、野球の指導者ら一般の人が100人といったところです。冬は一般の人を対象にして、検診したり、プロ野球選手を呼んだりして交流をしています」

 ――最後に、野球少年に一言お願いします

 「スポーツは楽しくやるものです。ケガをすると楽しくなくなります。ケガがないように、もしケガをしても、周囲が力を合わせて、復帰できるように、私たちは努力しています。ほとんどのケガは、治療でなんとか戻せるのではないか、というところまできています。私たちは、ケガをしても、最終的には野球をより上手に楽しくできるようになることを目指しています」

 

2017.9.28  読売新聞から転載

 

 

小学生は週100球まで…少年の故障防止へ 

デイリースポーツ 2015年3月24日

  

小学生は週100球まで…少年の故障防止へ 1万人調査で見えてきた投球基準


球春到来を告げる選抜高校野球大会が21日に開幕した。2年前の大会では、済美・安楽智大(現楽天)が5試合772球を投じ“投げ過ぎ論争”が巻き起こったことは記憶に新しい。日本高野連は、選手の健康を守るためのタイブレーク制採用に関する特別規則の改定も20日に発表した。

 投手が故障した時、球数制限の議論が必ず持ち上がる。若年層の健康管理の重要性が叫ばれる中、今月4日、興味深い実態調査報告が上がった。アマチュア野球を統括する全日本野球協会が中心となって昨年7月から今年1月にかけて実施した、少年野球チーム(軟式、硬式)に所属する小学生が対象のアンケートで、回答者は1万228人。これだけの規模の調査は、世界的にも初めてだという。

 調査では、全体の57・5%に当たる5880人が「これまでに何らかの痛みを感じたことがある」と回答。投手で肩、肘の痛みを経験したのは、ほぼ2人に1人となる49・3%にのぼった。また、捕手も39・9%、投手兼捕手(投手も捕手も経験した選手)は56・4%という数字が出た。

 20年前にも子供のケガ予防に関して投球制限などの提言がなされている。だが、それが守られず、大会の優勝投手がのちに故障で投手を断念したなどの事例が複数確認されたことが、今回の調査のきっかけとなった。

 調査を担当した、日本整形外科スポーツ医学会理事長で群馬大医学部の高岸憲二教授は「日本人は精神面を重視する傾向がある。論理的な材料を提示する必要があった」と説明。米国に比べると練習のベースが高過ぎ、骨軟骨障害の頻度は高いという。群馬の高校監督からは「高校に来た時には(選手が)つぶれている」という残念な言葉を何度も耳にしたそうだ。

 選手と同時に行った指導者へのアンケートでは、練習後のクーリングダウンを実施している割合は85・4%と、意識は高まっている。一方で、投手の投球数に関して何の指示もしていなかったり、オフシーズンを設けていない指導者がともに3割にのぼっており、改善が求められる。

 調査によって、新たな傾向も具体的なデータとして、明らかになってきた。肩、肘に関しては、野手、捕手、投手、投手兼捕手の順で、痛みを訴える選手が多くなっている。また、投手の全力投球の投球数がこれまでの指針である週200球ではなく、週100球を境に故障の可能性が上がっている。

 これを受けた考察では-

 ・捕手も投手の次に肩肘痛が多く、この2つのポジションの兼任はさけるべき

 ・投手と同様に、捕手の投球(送球)制限も設ける必要があるのでは

 ・1週間の全力投球数は、100球未満と100球以上で傾向に差が出るため、投球制限について真剣に考える必要がある

 ・野手も週2日間は休むべき

 といった新たな提言がなされている。

 調査は同じチームに来年度も継続して行われる。2年間追跡することで、データの有効性はより高まり、少年の故障予防につながるだろう。

 昨年の田中将大(ヤンキース)、そして今春のダルビッシュ(レンジャーズ)と、日本を代表する投手が肘の故障に見舞われ、米国でも日本の少年期の育成に問題点があるのではという報道があった。

 日本は高校野球には世間一般からも高い興味が寄せられる。一方、小中学生の選手の体調管理については、あまり取り上げられることがないのが現状だ。個人的には、高校生よりもさらに体ができていない小中学生の方が、より綿密なケアが求められると感じる。今回の調査が、少年野球を取り巻く環境に一石を投じ、1人でも多くの選手の健康が守られるようになることを願っている。

「野球ひじ」、痛む前に探す 投げ方・球数の考慮も

朝日新聞  2015年3月18日

 

ひじにエコーを当てられた中学生がじっとモニターを見つめる。「(軟骨は)きれいだね。大丈夫」。そう医師から告げられると、ほっとした表情を浮かべた。今年1月、岡山県では初めて中学校体育連盟主催の野球ひじの検査会が岡山市内で開かれ、中学生120人が受検した。

 

 成長期に起こりやすいスポーツのけがと言えば、野球ひじが知られて久しい。今、野球少年の故障の種を早期発見しようとする動きが全国的に広まっている。けがを問題視する医師や理学療法士らのボランティアによることが多い。背景には、初期には痛みの自覚がない“時限”のような症例が認知されてきたことがある。

 

投球動作は、ひじに屈伸以外の引っ張る力などが加わりやすい。野球ひじはそれを繰り返す中で、まだ軟らかい子どもの骨に負担がかかって起こる。

 傷める部位は内側、外側、後方の3カ所。2013年度に宮崎県で行われた検診結果で、ひじ障害の部位の内訳が内側が75%、外側が23%、後方が2%だったように、発症率は、軟骨や筋肉に炎症が起こる内側障害が圧倒的に多い。ただ、内側障害は痛みが出ても治りやすい。

 

 深刻なのは、外側に起こる「離断性骨軟骨炎」の方だ。発見されるのは受診者の2~4%。痛みを覚えた時には病状が進み、軟骨のかけらがはがれてしまう。関節の骨同士が壊れた歯車のようにかみ合わなくなり、ひじの屈伸ができなくなることも。日常生活に支障が出る後遺症が残りかねないのだ。

 

 神奈川県海老名市の小学6年の西岡海祥(みさき)君も昨夏、同市での検診で外側障害が初期段階で見つかった。小学2年から投手。1週間に2試合、7回を完投するペースで投げてきた。

 

目標はプロ野球選手という海祥君。「ひじがおかしい、というのはなかった」と振り返る。父親でチームのコーチも務める一成さん(41)は「痛みがなく現実感はないが、思い返せば投げすぎていた。どの子もなる可能性がある」と怖さを語る。診察で「投げないでひじを安静にしていれば治る」と言われ、検診以降はバッティング練習と一塁手に専念させている。

 

海祥君を治療する昭和大藤が丘病院の西中直也医師も、仲間の医師たちと一昨年から横浜市で野球少年のひじ検診をしている。西中医師が重要視するのは、早期発見とともに、投げ方の指導だ。「リハビリをしながら、理想的な体の回転ができる投げ方を指導する必要性もある。手投げなど投げ方が未熟なままだと治っても再発する」。海祥君も、ひじがまっすぐ出る動きを教わっている。

 

野球のけがについては、大規模な調査も実施された。今月4日、全日本野球協会や日本整形外科学会などが全国の小学生を対象にしたアンケートの結果を発表。539チームの選手1万228人から回答があり、肩・ひじの痛みを訴えた選手は投手と捕手の両方を経験した選手が56・4%と一番高いことが分かった。調査にあたった群馬大医学部の高岸憲二教授は「投手と捕手の兼任はできるだけ避けてほしい」と話す。

 

また、投げ過ぎを避けるために、日本臨床スポーツ医学会では95年に、全力投球数に関して小学生では1日50球以内、試合を含めて週200球を超えないことを提言している。しかし、今年度の調査では50球以上を投げている投手が、まだ34・6%もいたという。高岸教授は「優秀な選手が若いうちにつぶされると考える。来年も引き続き調査を行い、より説得力のある提言をしていきたい」と話している。

小学生の投手 ほぼ半数が肩や肘の痛み経験

NHKニュース 2015年3月4日

 

高校野球などでピッチャーの投げすぎによるケガへの関心が高まるなか、少年野球のケガの実態を調査する全国規模のアンケートが初めて行われ、小学生のピッチャーのほぼ半数が肩や肘の痛みを経験している現状が明らかになりました。
このアンケートは全日本野球協会や日本整形外科学会などが初めて行い、全国の小学生チームの1万人余りが回答しました。

それによりますと、ピッチャーで肩や肘の痛みを経験した選手は49パーセントとほぼ半数でした。
またキャッチャーでも40パーセントに上り、ほかの野手の平均より14パーセントも高くなっています。

一方、肘の痛みを感じたピッチャーのうち、20パーセント以上が休まず投球を続けていて、ケガの発見の遅れや深刻化につながる可能性があると指摘しています。
さらに1週間に100球以上投げているピッチャーは、肩や肘の痛みを抱える割合が高まる傾向があり、指導者が投球数の制限を真剣に考える必要があるとしています。

野球界では大リーグ、ヤンキースの田中将大投手や高校時代の安樂智大投手のケガなどでピッチャーの肘のケガへの関心が高まっていて、会見した日本整形外科学会の高岸憲二理事は「優秀な選手が中学生までにつぶれると高校の指導者からよく聞く。そういう選手を1人でも少なくして、長く野球を続けてもらいたい」と話しました。
この調査は今回、回答を寄せたチームに来年度も引き続き行われます。

詳しくはこちら

 

<少年野球調査>肘などに痛み「感じた」57%

毎日新聞 2015年3月4日


全日本野球協会などは4日、全国の軟式と硬式チームに所属する小学生の練習量や体の痛みの発症についての実態調査結果を発表した。同協会によると、少年野球のスポーツ障害に関する全国調査は初めて。

 調査は昨年7月から今年1月に実施。539チームの1万228人(リトルリーグの中学1年74人を含む)の選手と527人の指導者から回答を得た。回答率はほぼ100%。

 痛みに関する質問では、5880人(57.5%)が肘など何らかの部位に痛みを感じたことがあると回答。そのうち調査時に痛みがあり、整形外科などに通院しているのは648人にとどまった。また1週間の全力投球数について、100球を境に肩肘痛の発生に差が見られると指摘した。

 調査に協力した群馬大医学部の高岸憲二教授は「練習の投球制限について真剣に考えるべき時期にきている」と提言した。